東信州次世代イノベーションセンター

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event イベント

「戦略分野の業界及び技術動向」講演会

2017.03.21 掲載

第182回リレー講演会では、平成27年度経済産業省事業「戦略分野コーディネート事業」を経産省から委託された一般財団法人日本立地センター様のご協力により、4つの戦略分野における業界、及び技術動向に関して、各分野の戦略分野コーディネータの方々から解説して頂きました。

 

講演1<エレクトロニクス分野>

演題

「企業間マッチングの加速によるオープンイノベーションへの参画」

 

講師

一般財団法人ニューメディア開発協会 新情報技術企画グループ 林 充宏 氏

 

ニューメディア開発協会では経済産業省(近畿経済産業局)からの受託事業として、近畿地区の中小企業の有望シーズを各種企業に紹介するマッチング(エレクトロニクス・IoT分野における地域中核企業創出・支援事業)を実施しています。本講演では一例として近畿地区の有望シーズ9件を紹介された後、コーディネータとしてのご経験からマッチングに向けてのキーポイントとして、有望シーズの見せ方、マッチングの進め方などのノウハウを紹介して頂きました。更に今後の動向として近年、急速に身近になってきた人口知能(AI)に関しても解説して頂きました。

 

講演2<介護・福祉機器分野>

演題

「介護・福祉機器から健康開発機器へ 顧客ニーズ動向と技術ニーズ・シーズのマッチング」

 

講師

経営支援NPOクラブ 副理事長 柴田 勝 氏

 

世界一の高齢化社会となった日本では増大する社会保障費の抑制のため、健康寿命の延伸が最大の課題となっており、自立支援・健康回復機器、介護負担軽減機器、脳活動の維持・改善機器、医療・介護サービスシステムといった介護・福祉機器等などの果たす役割は大きなものがあります。本講演では介護・福祉機器の市場の分析、現状の開発状況及び課題、開発成功事例などが紹介されました。因みにこの分野で重要度が高いと思われる機器としては、在宅ケア分野における軽量化、取扱容易さを要求される機器、介護負担を軽減化するための機器、自立支援をサポートする機器、ICTを活用したスマートコミュニティ及びスマートハウスにおける介護・福祉機器などが挙げられています。また介護・福祉事業の課題として、市場規模に比べ資源量がかかりすぎる、開発に関して顧客ニーズの把握が難しい、介護・福祉機器の認定制度がわからない、などが参入企業へのアンケート調査の中で課題として挙げられています。

 

講演3<再生医療分野>

演題

「再生医療ビジネスの展望」

 

講師

一般社団法人 再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)
再生医療産業化拠点実証タスクフォース(RMIT)事務局長 森 冬比古 氏

 

再生医療とは、欠損や機能低下した組織を細胞レベルの技術を駆使して再生する医療であり、近年の幹細胞研究の進歩により、急速に発展した対症療法ではなく原因療法になりうる未来の医療です。本講演では日本における再生医療産業化の現況と展望を、再生医療等製品の上市・開発状況、産業としての再生医療の特殊性、世界との競合、日本の法規制改革とそのインパクトなどの観点から解説され、その中でFIRM、RMITのミッション、活動、実績等が紹介されました。再生医療産業の普及・発展には再生医療等製品そのものだけでなく、様々な種類の周辺産業が必要不可欠です。例えばCPCと呼ばれる細胞を培養・加工するために必要な清浄度が保たれているクリーンルーム、自動培養装置、試薬・培地、プラスチック製培養ディッシュなどの器材・材料、細胞加工・検査・保管等のサービス、検査機器、時間や温度などの輸送条件を遵守して行う輸送、保険などがあり、2050年の再生医療の国内売上予想規模2.5兆円(世界38兆円)に対し周辺産業の規模は国内1.3兆円、世界15兆円と言われています。また2014年に施行された再生医療関連法制度改革は、それまでの医薬品と医療機器の2分類の間に再生医療等製品が加わり、更に再生医療等製品の早期の実用化に対応した画期的な条件付早期承認制度が創出されています。

 

講演4<素材分野>

演題

「連続繊維熱可塑性複合材料CFRTP・GFRTPと自動車量産事例」

 

講師

サンワトレーディング株式会社 代表取締役 馬場 俊一 氏

 

航空・宇宙技術商社のサンワトレーディング社は、ドイツのBond Laminates社の日本代理店、また先端材料技術協会(SAMPE Japan)会員として、新素材の活用や加工の技術支援を行っています。本講演では連続繊維熱可塑性複合材料CFRTP(Carbon Fiber Reinforced Thermo Plastics)・GFRTP(Glass Fiber Reinforced Thermo Plastics)の特徴、熱硬化性複合材料との比較、自動車用途への量産事例、成形方法、更には熱可塑性樹脂用赤外線ヒータについても紹介して頂きました。

 

講演5<地域におけるオープンイノベーションの進め方>

演題

「公設試を活用していますか?」

 

講師

一般財団法人日本立地センター 地域イノベーション部長 梶川 義実 氏

 

日本立地センターでは平成25年度地域オープンイノベーション促進事業の一環として、経産省から委託された「企業におけるイノベーション創出効果に関する調査」により、企業の公設試利用状況等のアンケート調査を実施しました。主な利用目的では製品開発、製品評価、試作品の評価、材料の分析、不良品の原因究明などが挙げられています。また公設試利用に対する要望の中に、全国の公設試の機器情報、分析事例等を一括検索できるサイトがほしい、所有機器から設置個所、開放機器予約状況等の逆引きができるようにしてほしい、という情報提供に関する要望から「平成27年度戦略産業支援のための基盤整備事業(戦略分野コーディネータ事業(システム活用等普及促進基盤構築事業))」において「公設試保有機器・研究者情報検索システム」を開発されました。本講演では2016年4月から本格運用(経産省HP)が始まったこのシステムの概要、利用方法等についてご紹介頂きました。

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