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採用×育成×定着 戦略フォーラム 1/17開催
2025.01.30 掲載■日 時 2025年(令和7年)1月17日(金)14:00~17:30
■会 場 信州大学OVIC[オープンベンチャー・イノベーションセンター]
■参加者 長野県内企業・団体の人事・総務担当者 計68名(31社38名+関係機関)
■タイムスケジュール
14:00~14:10 挨拶
14:10~15:00 パネルディスカッション 【最近の就活トレンド、今の大学生はどんな進路を選んでいる?】
神奈川大学様、金沢工業大学様、拓殖大学様、千葉工業大学様、東京工科大学様 ※50音順
15:00~15:50 グループディスカッション
【テーマ①:採用力を引き上げるための課題をシェアしよう!】
【テーマ②:若手が続く!中堅が輝く!働きやすい環境の作り方】
15:50~16:10 休憩(フリーディスカッション)
16:10~16:40 講演 【なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか】
株式会社リクルート リクルートワークス研究所 主任研究員 古屋 星斗 様
16:40~17:20 対談 【本には書けなかったエピソードトーク/中小企業の採用成功エピソードのシェア】
17:20~17:25 地域人事部事業について
17:25~17:30 まとめ・挨拶
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17:30~17:35 上田市の取組について(人的資本経営・健康経営ネットワーク)
17:35~18:00 交流会(フリーディスカッション)
18:00~ 懇親会(希望者)※フォーラムと同会場
企業の採用×育成×定着に対する課題を地域全体で解決するため、一般財団法人浅間リサーチエクステンションセンター(AREC)では、ネットワークの構築および事業の再編成を目的として、新たに「フォーラム」を発足いたしました。本フォーラムでは、採用×育成×定着に関する実績や課題を共有し、参加者が一体となって課題解決に向けた建設的な意見交換を行う場を提供することを目的としています。
初回には、若年層のキャリア形成や若手育成、労働市場を専門とする古屋様をお招きし、ご講演いただきました。その他、首都圏等5大学×企業のパネルディスカッション、企業間で情報交換を行えるグループディスカッションの時間も設けました。
パネルディスカッション
本セッションでは、大学生の就職活動に関する最新動向について、登壇された企業様の質問に答えて頂く形で、各大学のキャリア支援担当者が事例を交えて報告しました。
○テーマ: 最近の就活トレンド、今の大学生はどんな進路を選んでいる?
○パネリスト:神奈川大学様、金沢工業大学様、拓殖大学様、千葉工業大学様、東京工科大学様
○登壇企業様:株式会社アルプスツール様、シナノケンシ株式会社様
○ファシリテーター:一般財団法人浅間リサーチエクステンションセンター(AREC) センター長 岡田 基幸
[質問例]
‣現在の大学生の進路選択の傾向について。
‣キャリアセンターと学生の関わり方について。
‣新型コロナウイルス流行前後での就職活動の変化について。
[主な回答(抜粋)]
‣学生の社会人との関わりが希薄になりつつある。
‣インターンシップの相談が増加。
‣オンライン面接が一般化したが、対面面接の方が定着率が向上する傾向にある。
各大学の情報が共有され、限られた時間内で有意義な意見交換が行われました。最後に、大学側から「企業が求める人材像を明確にすること」および「大学のイベントに積極的に参加してほしい」との要望があり、本セッションは終了しました。
グループディスカッション
本セッションでは、企業間の交流を促進し、採用や職場環境改善に関する具体的な課題と取組を共有しました。
グループは、①規模・②共通課題・③課題に対して他社の取組が参考になりそうである という3つを柱に組みました。1つの課題に絞り話し合う・いくつかの課題出しをするなど、各グループ自由にアレンジしてディスカッションして頂きました。
○テーマ①:採用力を引き上げるための課題をシェアしよう!
○テーマ②:若手が続く!中堅が輝く!働きやすい環境の作り方
○グループ:5~6名毎 10グループ
テーマ①:採用について「採用力を引き上げるための課題をシェアしよう!」
(新卒、既卒、高卒、転職、アルバイト・パート、女性、外国人、障がい者、高齢者、ロボット)
[課題] [取組]
‣技術系職種の応募者が少ない ‣技術知識のない人材をゼロから育成する
‣学生との接点が少ない ‣SNSや動画を活用した情報発信の強化
テーマ②:育成・定着について「若手が続く!中堅が輝く!働きやすい環境の作り方」
[課題] [取組]
‣研修プログラムが時代に遅れている ‣定期的な面談の場を設定
‣若手社員とのコミュニケーション不足 ‣物理的な壁を取り払ったオフィスレイアウトの導入
模造紙や記録用紙を用いて議論内容を整理し、最後に発表の時間を設けました。企業間で共通する課題を共有し、それに対する他社の取組を紹介し合うことで、活発な意見交換が行われました。
各グループでまとめた模造紙はホワイトボードに掲示し、全参加者が閲覧できるようにしたことで、交流会でも議論が継続されるなど、実りある時間となりました。
講演
事前に企業様にアンケートを取り、古屋様に講演頂きたい内容を尋ねました。それに対して、古屋様の研究や活動、著書をふまえて講演して頂きました。
○テーマ:なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか
○講師:株式会社リクルート リクルートワークス研究所 主任研究員 古屋 星斗 様
‣採用について
[質問]知名度が低く採用予算が少なくてもできるような採用手法/若者がどうやって企業を選ぶか/求職者は企業のどこを見ているか
[講演で聞いた参考になると感じたこと]
応募条件を限界まで絞る 例:kintoneを2カ月以上触ったことのある文系学生
‣育成・定着について
[質問]若手社員・若手管理職の育成方法・モチベーションUP・定着率UP方法/エンゲージメントを高める方法や有効なリテンション防止策/心理的安全性とキャリア安全性の高い職場づくりに必要なこと
[講演で聞いた参考になると感じたこと]
登山しながらチームビルディング・チーム選択制社員旅行/地域同期/地域共同育成
採用については、パネルディスカッションでも話題になりましたが、求める人材像を限界まで絞りこんで明らかにすることが大切だと痛感しました。
育成・定着については、各企業様でできることに加え、地域全体で動いていくことの大切さを考えさせられました。最後の地域人事部事業についての話とリンクするところがあり、支援団体としてARECにできることを考えていきたいと思います。
対談
古屋様の著書『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか』について、ARECセンター長の岡田が質問する形で、深堀しました。
○テーマ:本には書けなかったエピソードトーク/ 中小企業の採用成功エピソードのシェア
○講師 古屋 星斗 様 × ARECセンター長 岡田 基幸
テーマに関しては、講演の中でも多く発信して頂いていたので、岡田が古屋様の著書を読んで感動した内容について聞きました。
「行動のための言い訳」
言い訳があることで、人は行動のハードルがぐっと下がる。~言い訳を示すことが、モヤモヤした不安を抱えるが行動できていない若手を動かすための処方箋となりうる。
(※なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか P.236抜粋)
私自身もこのフレーズに深く感銘を受けました。実際に、上司の勧めで参加した勉強会において、想定以上に有意義な学びを得ることが多くありました。このような実践的な知見は、若手の成長を促す上で非常に重要な示唆を与えてくれると感じました。
古屋様には、貴重で示唆に富んだご講演を賜り、心より感謝申し上げます。
交流会・懇親会
企業間のネットワーキングの場として、参加者同士の名刺交換や情報交換が活発に行われました。特に、古屋様には多くの参加者が質問や意見交換を求め、盛況のうちに終了しました。
後日頂いたアンケートでは、下記のようなご意見・ご感想を頂きました。
・他企業の皆さんと一歩踏み込んだ関係の構築ができ、実際にそこから次の一手ができそうで楽しみです。
・欠けている点を早急に明確にしたいです。
本フォーラムを通じて、企業間での情報共有が進み、採用×育成×定着に関する新たな知見が得られる貴重な機会となりました。今後もこのような取り組みを継続し、地域全体で「採用×育成×定着」について考えていく場を増やしていきたいと考えております。
登壇頂いた大学関係者および企業の皆様に深く感謝申し上げます。
一般財団法人浅間リサーチエクステンションセンター(AREC) 尾島彩